ニューストピックス(2020年2月)

「ONE TEAM」のロゴを商標登録出願(日本ラグビー協会)

日本ラグビー協会は、ワールドカップ(W杯)日本大会で活躍した日本代表のスローガン「ONETEAM(ワンチーム)」のロゴを商標登録出願しました。

商願2019-147864号

日本代表は初の8強入りを果たす快進撃を見せ、「ONE TEAM(ワンチーム)」は日本チームの代名詞として一気に認知度が高まりました。これを受け、日本ラグビー協会は、第三者に悪用されることを防ぐ目的で大会終了後の昨年11月22日に出願しました。

「ONE TEAM」は、国籍や人種など、様々な背景の選手たちが思いを一つにし、団結して勝利を目指すスローガンとして、2016年に制定されました。史上初のベスト8入りを達成したことで、日本中でラグビーブームが起き、「ONETEAM」は、「2019ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞を受賞しました。

本件には次の商品・役務が指定されています。

  • 時計やキーホルダーなどの身飾品(第14類)
  • 文房具・印刷物・タオルなど(第16類)
  • ラグビー用ユニフォームやシューズを含む被服や履物など(第25類)
  • ラグビー用ボールを含む運動用具やおもちゃなど(第28類)
  • スポーツの指導や興行開催など(第41類)

特許権侵害訴訟での損害賠償額算定方法の見直し
~改正特許法 4月1日施行~

2020年4月1日から施行される改正特許法で特許権侵害訴訟における損害賠償額算定方法が見直されます。
特許権侵害訴訟での原告(特許権者)からの損害賠償請求は民法第709条の不法行為による損害賠償の規定に基づいて行います。

しかし、特許権侵害では損害の立証が簡単ではないということで、
特許法第102条に特許権侵害訴訟における損害賠償額算定方法が定められています。
侵害行為がなければ特許権者が販売することができた逸失利益を損害額と推定する(同条第1項)
侵害者の利益の額を損害額と推定する(同条第2項)
相当実施料額を損害額として請求できる(同条 第3項)というものです。

(a)特許権者の逸失利益の覆滅された部分について相当実施料額の適用

特許法第102条第1項では、「侵害行為がなければ特許権者が販売することができた逸失利益」を原告(特許権者)が立証します。

原告(特許権者)の立証によって「侵害行為がなければ特許権者が販売することができた金額」が損害賠償額としての逸失利益に推定されるようになっても、特許権者の逸失利益について、侵害者が、「特許権者の実施能力」や「特許権者が販売することができない事情」を反証すれば、推定された逸失利益が覆滅される旨が特許法第102条第1項に規定されています。

この場合、推定が覆滅された部分について、同条第3項による相当実施料額が認められるか否か、裁判例や学説では、肯定、否定、折衷の立場からな議論がなされてきました。

4月1日施行の改正法では、「特許権者の実施能力」がないことによる覆滅部分及び「特許権者が販売することができない事情」による覆滅部分について、次の図に示すように、相当実施料額の請求が認められることになりました。これにより、被告(侵害者)が侵害訴訟において「特許権者の実施能力」がないこと等による覆滅部分を立証できたとしても、原告(特許権者)は覆滅が立証された部分について相当実施料額を損害額として請求できることになります。

出典:特許庁 第27回特許制度小委員会 資料1知財紛争処理システムの見直しの方向性

(b)相当実施料額の増額

特許法第102条第3項は、特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を損害額として請求できると規定しています。相当実施料額の算定に当たり考慮すべき要素の明確化について、これまで様々な議論がなされていました。

例えば、過去の実施許諾例、業界相場、等といった増額・減額のいずれかに働きうる一般的な考慮要素や、特許が有効であること、交渉の経緯、等といった増額に働きうる事後的な要素などです。

4月1日施行の改正法では、次の図に示すように、裁判所が、相当実施料額について、特許権の侵害があったことを前提として特許権者が侵害者との間で合意をしたならば得られたであろう額を考慮することができる旨規定されました。これにより通常の交渉時における相当実施料額より増額される場合があることが期待されます。

なお、4月1日施行の改正法による上述の特許権者の逸失利益の覆滅された部分についての相当実施料額の適用(特許法第102条第1項)における相当実施料額についても特許権の侵害があったことを前提として特許権者が侵害者との間で合意をしたならば得られたであろう額を考慮することができるようになります。

出典:特許庁 第27回特許制度小委員会 資料1知財紛争処理システムの見直しの方向性(案)

米中が知的財産権の保護強化で合意

米中両政府は、貿易協議をめぐる「第1段階」の合意文書に署名しました。

第1段階の合意には、知的財産権の保護や技術移転の強要禁止などの項目が盛り込まれました。

米政府が公表した協定文によりますと、知財分野においては特許、商標、営業秘密、地理的表示などの項目で合意しました。

具体的には、

  • 模造品や偽造品の取り締まりを強化します。
  • オンライン環境での侵害に対し、効果的で迅速な行動を義務付けます。
  • 電子商取引プラットフォームへの効果的な行動、偽造医薬品や関連製品への効果的な執行措置、国内や輸出される海賊品や偽造品への執行措置を強化します。
  • 米国のブランド品の保護を図るため、悪意ある商標登録を無効にしたり、却下したりするような対策を求めます。
  • 技術移転に関しては、中国が市場アクセスや行政承認または利益の受け取りを条件に、外国企業に技術移転の圧力をかけることを禁じます。
  • いかなる技術移転や使用許諾も自発的で相互合意を反映した市場(取引)の条件に基づくよう求めます。
  • 産業政策に絡み、国家が海外技術の取得を目的に指示・支援する対外投資を禁じます。

ただ、米国が問題視していたハイテク産業や国有企業を支援する補助金の見直しなど、中国の構造改革をめぐる問題は先送りされました。

商標のファストトラック 2月から審査・運用変更(特許庁)

特許庁は、2020年2月から商標のファストトラック審査の新たな運用を開始します。

「ファストトラック審査」とは、通常案件より2カ月程度早く最初の審査結果通知を行う審査制度ですが、2月1日以降の出願については、出願から6ヶ月で審査開始になる予定で、大幅に短縮されます。

対象案件となるのは次の2つ要件をいずれも満たしている商標出願です。

(1)出願時に、「類似商品・役務審査基準」、「商標法施行規則」または「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」に掲載の商品・役務(以下、「基準等表示」)のみを指定している商標登録出願

(2)審査着手時までに指定商品・指定役務の補正を行っていない商標登録出願

ただし、新しいタイプの商標に係る出願(動き商標、ホログラム商標、音商標など)及び国際商標登録出願は除きます。また、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で公表している「審査において採用された商品・役務名」等、「基準等表示」以外の商品・ 役務が指定されている場合は対象になりません。

【留意点】

ファストトラック審査の適用を受ける場合、指定商品・指定役務の記載を特許庁等が定めている商品名・役務名に合わせる必要があります。基準等表示と少しでも異なる商品名・役務名の場合は対象になりません。

例:第41類「セミナーの企画・運営又は開催」(類似商品・役務審査基準)の表示に対して、
指定役務が第41類「セミナーの企画・運営」は、対象外となります。

ファストトラック審査の適用を受けようとするために、商品名・役務名を基準等表示に合わせることには注意が必要です。
例えば、比較的新しい商品や役務の場合、基準等表示に自分が指定したい商品・役務が記載されているとは限りません。
また、商品・役務について具体的な記載をしたいと思っても、基準等表示に対応する商品・役務がないという可能性もあります。
このような場合、基準等表示に定めている商品名・役務名に合わせてしまうと、適切な商標登録ができなくなる可能性があるため注意が必要です。

米国での特許取得件数 第1位はIBM キヤノンが3位

米国の特許専門調査会社IFI CLAIMSパテントサービスによると、
2019年に米国特許商標庁(USPTO)に登録された特許数(速報値)は、33万3,530件と過去最高を記録しました。

企業別の取得ランキングでは、米IBMが前年比2%増の9,262件で27年連続首位となりました。

第2位にはサムスン電子(6,469件)で、
キヤノンは3,555件で第3位となり、日本企業としては第1位を獲得しました。
キヤノンは、34年連続で5位以内を記録しています。

第4位にはマイクロソフト(3,081件)、第5位にはインテル(3,020件)、第6位にはLGエレクトロニクス(2,805件)、第7位にはアップル(2,490件)、第8位にはフォード・グローバル・テクノジーズ(2,468件)、第9位にはアマゾン(2,427件)、第10位にはファーウェイ・テクノロジーズ(2,418件)がランクインしています。

「商標拳~ビジネスを守る奥義~」動画を公開(特許庁)

特許庁は、商標制度の重要性を広く知ってもらうため、カンフー仕立ての動画と特設サイト「商標拳~ビジネスを守る奥義~」を公開しました。

特に中小企業に対して、商標制度について無関心であることの経営リスクについて気付いてもらい、商標制度に関心を持ってもらうことを目指しています。

「商標拳」とは、後発による乗っ取りを防いだり、偽物の大量発生を阻止したりと、自社ビジネスの権利を守る拳法。
動画は、模倣品の被害に遭い窮地に陥る企業の社長が、「商標拳(権)」を会得し、
ニセモノを製造する悪徳模倣品業者に立ち向かうストーリーです。

特許庁は動画や特設サイトなどを通じて「商標権を知らずにビジネスをすることは経営上の大きなリスクになる」といったメッセージを伝えていく考えです。

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投稿者プロフィール

HAYASHI Takaaki
HAYASHI Takaaki弁理士
特許や商標などの知的財産の専門家。特に半導体・自動車・遊技機の技術分野において実務経験が豊富。諸外国の知財実務にも精通しており、特にインドネシアに関しては知財以外のビジネス情報にも詳しい。