弁理士が教える特許実務Q&A「弁理士への特許出願の依頼」

【質 問】
社内でまとめたアイディアについて特許事務所(弁理士)に特許出願を依頼に行きたいのですが、アイディアを説明するためにどのようなものを準備すればよいでしょうか?

弁理士 林 崇朗

【回 答】
特許事務所の弁理士が特許出願の依頼を受けるにあたり発明者、特許出願人となる方から説明していただきたい事項を紹介します。

特許出願で特許庁へ提出する書面

特許出願では特許権の付与を求める発明を文章(必要であれば文章と図面と)で説明して特許庁へ提出します。弁理士は記載内容の概略が説明されている「明細書」、「特許請求の範囲」、必用な場合の「図面」を準備します。このための手掛かりとなり、特許出願人の代理人となる弁理士が発明内容を正確に把握・理解することに役立つ事項として、最初にこのような事項をご説明をいただけるとありがたい、というところを以下に紹介します。

<どのような技術分野・技術に関するものか>

開発された発明、アイディアがどのような技術分野のものであるか、例えば、金属加工技術、食品製造技術、等。発明内容を把握する上での第一歩になります。「明細書」で「技術分野」の欄に記載する事項になります。

<これまではどのようにしていたのか>

開発された発明、アイディアの技術分野では従来はどのように行っていたのか。「明細書」で「背景技術」の欄に記載する事項になります。特許出願を行う際「背景技術の欄」に、特許出願人が知っている先行技術文献情報を記載する必要があります。開発された発明、アイディアに関連する従来の特許出願の内容が公表されている特許出願公開公報の番号を記載するのが一般的です。ご自分で特許庁のJ-Plat Patを利用して特許調査を行い、先行している特許出願公開公報の番号をご存知でしたら弁理士にお知らせください。なお、特許出願の準備を進めるにあたって、弁理士は、「背景技術の欄」に記載する先行している特許出願公開公報を検索する調査をある程度のレベルで行うのが一般的です。この際に発見できた先行している特許出願公開公報を弁理士から提供受けることで、開発した発明、アイディアにおける新規な部分をより明確に説明できるようになることもあります。

<どのようなことを解決・改善しようとするのか>

これまでどのようなところに不具合を感じていたのか、どのようなところに困っていたのか。従来になかった新しいニーズに対応できる発明、アイディアを開発した場合には、どのような新たなニーズに対応しようとしているのか。「明細書」で「発明が解決しようとしている課題」の欄に記載する事項になります。

<解決・改善のために採用した工夫>

どのような工夫を採用したことで上述した不具合、困っていた問題点を解決できたのか。あるいは、どのような工夫を採用したことで上述した新たなニーズに対応できるようになったのか。「明細書」で「課題を解決するための手段」の欄に記載する事項になります。また、特許請求する発明として「特許請求の範囲」に記載する事項になります。

<今回の工夫を採用したことでどのようになったか>

上述した不具合、困っていた問題点を解決でき、上述した新たなニーズに対応できるようになったということです。これらのみにとどまらず、開発した発明、アイディアによって実現できるようになった利点は何か。「明細書」で「発明の効果」の欄に記載する事項になります。

<開発した発明、アイディアの具体例>

開発した発明、アイディアを実際に行っている実例、例えば、機械・構造物の図面や写真・現物、実際に製品を製造したときのデータや試験・実験結果、従来のものと比較・検討した試験・実験結果データ、発明、アイディアが実際に行われるときの簡単なフローチャート、等。「明細書」で「発明を実施するための形態」、「実施例」の欄に記載する事項になります。

<面談の形式、等>

特許事務所においでいただいて説明を受ける、あるいは、開発現場である工場などに弁理士が訪問させていただいて説明を受ける、等の形式があります。いずれにしても、開発された発明、アイディアを弁理士が正確に把握・理解する目的で、上述したような事項をご説明いただけると助かりますが、これらは、最初の段階から完全に準備していただく必要はありません。箇条書きのようなメモのようなものでご説明いただいてもよいです。また、図面などをご持参いただいて口頭で説明していただく、等、弁理士がヒアリングする中で質問し、ご説明をいただくことで発明の内容を把握する形式にすることもできます。

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投稿者プロフィール

HAYASHI Takaaki
HAYASHI Takaaki弁理士
特許や商標などの知的財産の専門家。特に半導体・自動車・遊技機の技術分野において実務経験が豊富。諸外国の知財実務にも精通しており、特にインドネシアに関しては知財以外のビジネス情報にも詳しい。