特許を申請する費用の把握と最適化:コストを抑えながら保護を実現する

 特許を申請する際には、特許の申請に伴う費用について理解することが重要です。本記事では、特許の申請の費用に焦点を当て、特許の申請にかかる費用の詳細について解説します。特許の申請を検討している方や興味を持っている方にとって、この情報は重要なガイドとなるでしょう。

 なお、「特許申請」という用語は、特許を受けるための手続きを表す正しい表現ではなく、正確には「特許出願」といいます。法律的には「申請」は、書式や手数料などの形式が整っていれば認められる手続きとされています。そして「出願」は、審査をして要件を満たしている場合に認められる手続きとされています。特許を受けるための手続きは、審査が必要な手続きであることから、「特許申請」ではなく正式には「特許出願」と呼ぶべきものです。

特許の申請費用その1:出願段階の費用

 特許の申請にかかる費用として、まずは、出願段階の費用について説明します。出願段階とは、特許出願書類を特許庁に提出するまでの段階の手続きです。出願段階では、特許相談、先行技術調査、出願書類の作成、出願書類の提出などが行われます。この出願段階の費用には、2つの費用があります。一つは、特許庁に納付する特許庁費用です。もう一つは、出願段階のサービスを弁理士に依頼した場合に弁理士に支払う弁理士報酬です。この弁理士報酬は、出願段階の費用で大きなウェイトを占めます。もちろん、弁理士を利用しない場合には弁理士報酬は発生しません。

①出願段階の特許庁費用

 特許申請における出願段階の特許庁費用は、出願書類を特許庁に提出する際に特許庁に納付する特許出願料14,000円のみです。この特許出願料は、明細書や図面の枚数、請求項の数などにかかわらず14,000円の定額となっています。

②出願段階の弁理士報酬

 特許申請における出願段階の弁理士報酬は、特許事務所や弁理士ごとに様々な料金体系があって千差万別ですが、出願書類の作成量に応じて25万円~50万円が一般的です。

 参考までに、日本弁理士会による弁理士報酬に関するアンケート調査では次のような結果となっています。

出願書類の作成量最低平均最高
明細書15ページ、請求項の数5、図面5枚10万円300,237円50万円
明細書25ページ、請求項の数20、図面10枚15万円454,000円75万円
日本弁理士会 平成15・18年弁理士報酬アンケートの調査結果

特許の申請費用その2:出願審査請求の費用

 次に、出願審査請求の費用について説明します。出願審査請求とは、特許出願に対する実体審査を特許庁に請求するための手続きです。実体審査では、特許出願した発明に特許性があるかどうかについて特許庁の審査官が審査を行います。なお、出願日から3年以内に出願審査請求を行わなければ、その特許出願について特許を取得することはできません。出願審査請求の費用についても特許庁費用と弁理士報酬があります。もちろん、出願審査請求を弁理士に依頼しない場合には弁理士報酬は発生しません。

①出願審査請求の特許庁費用

 出願審査請求の特許庁費用は、出願審査請求料といい、請求項の数に応じて増加します。請求項の数が多ければ実体審査の手間が増えるという考えなのでしょう。また、出願審査請求料は、条件を満たす中小企業などであれば1/2に軽減され、条件を満たす中小スタートアップ企業小規模企業などであれば1/3に軽減されます。

請求項の数出願審査請求料
の通常料金
中小企業など
1/2軽減料金
中小スタートアップ
・小規模企業など
1/3軽減料金
1¥142,000¥71,000¥47,300
2¥146,000¥73,000¥48,600
3¥150,000¥75,000¥50,000
4¥154,000¥77,000¥51,300
5¥158,000¥79,000¥52,600
6¥162,000¥81,000¥54,000
7¥166,000¥83,000¥55,300
8¥170,000¥85,000¥56,600
9¥174,000¥87,000¥58,000
10¥178,000¥89,000¥59,300
11¥182,000¥91,000¥60,600
12¥186,000¥93,000¥62,000
13¥190,000¥95,000¥63,300
14¥194,000¥97,000¥64,600
15¥198,000¥99,000¥66,000
出願審査請求料の一覧表

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②出願審査請求の弁理士報酬

 出願審査請求の弁理士報酬は、特許事務所や弁理士ごとに様々な料金体系があって千差万別ですが1万円~3万円が目安となります。また、早期審査を請求する場合には、弁理士報酬がさらに3万円~5万円かかるのが一般的です。

特許の申請費用その3:拒絶対応の費用

 次に、拒絶対応の費用について説明します。拒絶対応とは、特許出願の実体審査で拒絶理由通知書が発行された場合に、その拒絶理由を解消するために意見書手続補正書などを提出して拒絶理由の解消を図る手続きです。この拒絶対応は、特許出願から特許登録までの中間にあたる手続きであるため「中間対応」や「中間処理」とも呼ばれます。拒絶対応の費用は、拒絶理由通知書が発行されずに特許査定となれば、もちろん発生しない費用です。また、拒絶対応では、基本的に特許庁費用は発生しません。そのため、拒絶対応を弁理士に依頼した場合に弁理士報酬が拒絶対応の費用として発生することになります。

①拒絶対応の特許庁費用

 拒絶対応では、基本的に特許庁費用は発生しません。しかし、補正によって請求項の数が増えた場合には、その増えた請求項の数に相当する審査請求料を追加で納付する必要があります。

②拒絶対応の弁理士報酬

 拒絶対応の弁理士報酬は、特許事務所や弁理士ごとに様々な料金体系があって千差万別ですが、作業量に応じて1回の拒絶対応あたり6万円~20万円が一般的です。

 参考までに、日本弁理士会による弁理士報酬に関するアンケート調査では次のような結果となっています。

拒絶対応の作業最低平均最高
意見書(請求項1の場合)0万円66,485円20万円
手続補正書(請求項の増加なし)0万円63,556円12万円
日本弁理士会 平成15・18年弁理士報酬アンケートの調査結果

特許の申請費用その4:登録段階の費用

 次に、登録段階の費用について説明します。登録段階とは、実体審査の結果として特許の登録を許可する登録査定が発行され、3年分の特許料を納付することによって、特許が特許原簿に登録されるまでの手続きです。この登録段階の費用についても特許庁費用と弁理士報酬があります。登録段階の特許庁費用は3年分の特許料です。登録段階の弁理士報酬は、登録査定に対する成功報酬や、登録料の納付手続きに対する報酬となります。もちろん、弁理士を利用しない場合には弁理士報酬は発生しません。

①登録段階の特許庁費用

 登録段階の特許庁費用は、3年分の特許料であり、請求項の数に応じて増加します。また、10年目までの特許料は、条件を満たす中小企業などであれば1/2に軽減され、条件を満たす中小スタートアップ企業小規模企業などであれば1/3に軽減されます。

請求項の数特許料3年分
の通常料金
中小企業など
1/2軽減料金
中小スタートアップ
・小規模企業など
1/3軽減料金
1¥4,600¥2,300¥1,500
2¥4,900¥2,400¥1,600
3¥5,200¥2,600¥1,700
4¥5,500¥2,700¥1,800
5¥5,800¥2,900¥1,900
6¥6,100¥3,000¥2,000
7¥6,400¥3,200¥2,100
8¥6,700¥3,300¥2,200
9¥7,000¥3,500¥2,300
10¥7,300¥3,600¥2,400
11¥7,600¥3,800¥2,500
12¥7,900¥3,900¥2,600
13¥8,200¥4,100¥2,700
14¥8,500¥4,200¥2,800
15¥8,800¥4,400¥2,900
特許料3年分の一覧表

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②登録段階の弁理士報酬

 登録段階の弁理士報酬は、特許事務所や弁理士ごとに様々な料金体系があって千差万別です。成功報酬を設定している料金体系では、その分だけ出願段階の費用が割安に設定されている傾向があります。逆に、成功報酬を設定していない料金体系では、その分だけ出願段階の費用が割高に設定されている傾向があります。そのため、登録段階の弁理士報酬は、成功報酬がなければ登録料納付の手数料としてが1万円~3万円が目安となり、成功報酬が含まれるのであれば10万円~15万円程度が相場となります。

 参考までに、日本弁理士会による弁理士報酬に関するアンケート調査では次のような結果となっています。

成功報酬最低平均最高
明細書15ページ、請求項の数5、図面5枚0万円118,445円20.5万円
明細書25ページ、請求項の数20、図面10枚0万円232,386円35.5万円
日本弁理士会 平成15・18年弁理士報酬アンケートの調査結果

まとめ

 以上説明したように、特許申請には、①出願段階の費用、②出願審査請求の費用、③拒絶対応の費用、④登録段階の費用、といった様々な費用が発生します。本記事では特許の申請にかかる基本的な費用とポイントを解説しました。特許を取得するためには、正確な情報と専門家の助言を受けながら進めることが重要です。特許申請の基礎知識を身につけることで、特許制度を適切に活用し、アイデアの保護を行うための一歩を踏み出しましょう。

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