ブランドの木造住宅を展開するアールシーコア社は、自社のデザインを模倣した住宅会社を訴えた裁判で勝訴したと発表しました。アールシーコア社は、鳥取県のマキタホーム社が製造販売する建売住宅が、アールシーコア社が有する意匠権(意匠登録1571668号等)を侵害しているとして、2018年8月に建売住宅の製造販売中止と、損害賠償を求めて東京地裁に提訴しました。

 東京地方裁判所は、マキタホームの意匠権侵害を認めて、販売差し止めと賠償金約85万円の支払いを命じる判決を下しました。両社ともに控訴せず、判決が確定しました。

 建築デザインの模倣に関しては、2016年12月に喫茶店チェーン「コメダ珈琲店」を展開するコメダが不正競争防止法違反を理由に、建物の営業差し止めを求め、仮処分命令が下された例があります。

 新聞報道などでは「住宅デザインについての『意匠権侵害』が初めて認められた判決」等と紹介されています。しかし、アールシーコア社の意匠登録第1571668号は意匠に係る物品「組み立て家屋」についての「部分意匠」です。工場生産された複数の建物キットを建設現場で組み立てることで建築される「組み立て家屋」において、正面の柱と梁とで十字状の見た目・外観・形態を呈している部分について意匠登録を受けていたものです。今回はこの部分が似ているということで意匠権侵害が認められました。

 2020年から施行された改正意匠法により不動産である建築物の見た目・外観・形態が意匠登録の対象に追加されました。アールシーコア社が意匠権を取得していた「組み立て家屋」は、従来から、動産であるとして意匠法上の物品に該当し、意匠権で保護されていたものです。

意匠登録1571668号 【使用状態を表す参考図】

<特許出願(特許申請)の基礎知識>

特許申請の基本知識
特許申請の流れ:手続きガイドとポイントを解説

 特許申請の流れを把握することは、新しいアイデアや技術などの発明を保護するために重要です。そして、特許申請の流れには複雑な手続きや法律的な要件が存在するため、特許申請の流れについて理解することは重要です。本記事では、日本 […]

もっと見る
特許申請の基本知識
特許を申請する費用の把握と最適化:コストを抑えながら保護を実現する

 特許を申請する際には、特許の申請に伴う費用について理解することが重要です。本記事では、特許の申請の費用に焦点を当て、特許の申請にかかる費用の詳細について解説します。特許の申請を検討している方や興味を持っている方にとって […]

もっと見る
特許申請の基本知識
特許申請の代行サービスのメリット・デメリット

 特許申請は、発明や技術的な革新を保護するために非常に重要な手続きです。しかし、特許申請は専門的な知識や綿密な書類作成が必要とされるため、多くの人にとっては困難な作業となる場合があります。そこで、特許申請の代行サービスが […]

もっと見る
特許申請の基本知識
特許申請の費用を軽減する方法とは?出願人の負担軽減と支援策を解説

特許申請費用の軽減方法1:出願審査請求料  出願審査請求料は、特許出願した発明の特許性を審査してもらうために特許庁に納付する手数料です。特許庁で実体審査を受けるためには、出願日から3年以内に審査請求料を納付して出願審査請 […]

もっと見る
特許申請の基本知識
簡単な工夫では特許取得は難しいのか?成功のための戦略とアプローチ

特許性に関して後知恵での判断は禁物  特許庁の審査官が審査を行う際に注意を払うことの一つに、「後知恵に陥らないようにする」があります。  特許出願にあたって、発明者・特許出願人は、発明の目的(発明が解決しようとする課題) […]

もっと見る
特許申請の基本知識
物の発明と方法の発明の違いとは?特許申請における重要なポイントを解説

発明のカテゴリー  「特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する」(特許法第68条)というのが特許権の独占排他的な効力です。ここでの「特許発明」とは、特許を受けている発明のことをいいます。そして「業として」と […]

もっと見る

あたなは、このようなことでお悩みではありませんか?

  1. 自社のビジネスモデルをパクられたくない。
  2. どの程度のアイデアなら特許を取れるのだろう…
  3. 構想段階ではあるがビジネスのアイデアを守りたい。
  4. 中小企業が特許を取ることに意味があるか疑問がある。
  5. 特許を取るには費用がかかりそうだが元を取れるの?
  6. 特許申請のために何をすべきか分からない。