財務省は、2020年の全国の税関による偽ブランド品など知的財産侵害物品の輸入差し止め件数が、前年比26.6%増の30,305件だったと発表しました。3万件を超えたのは3年ぶりで、調査を始めた1987年以降で3番目の高水準です。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けてインターネット通販を利用した不正輸入や、人気アニメ「鬼滅の刃」のキャラクターを無断使用したグッズや海賊版、東京五輪・パラリンピック関連のロゴなどを許可なく使ったレプリカメダルなどが増加しました。

 全体の85.2%が中国から持ち込まれたものです。種類別では財布やバッグが9,931件、次いで衣類が9,166件、時計が4,057件などとなりました。

個人の使用目的でも差し止めの対象に

 政府は、海外から流入する偽ブランド品など模倣品の取り締まりを強化するため、個人の使用目的で輸入した物品であっても商標権を侵害している場合は、税関で差し止め対象とする商標法改正案などを閣議決定しました。

 現行の商標法では、国内事業者が模倣品の輸入や売買を行うと、商標権を侵害したとして刑事罰が科されます。一方、個人が海外事業者から自分で使うと称して輸入した模倣品は商標権侵害を問えず、流入を阻止できませんでした。

 近年、模倣行為が巧妙化しており、海外事業者から日本の輸入業者を通さず、直接個人に模倣品が販売される例が増えています。

 今回の改正では、海外事業者が模倣品を郵送等により国内に持ち込む行為について、日本における商標権の侵害と位置付けることになりました。個人の使用目的で購入する場合でも、知的財産権侵害品として、税関において輸入を差し止めることが可能となります。

輸入差止申立制度

 「輸入差止申立制度」とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権などを侵害する貨物が輸入されようとする場合に、権利者が税関長に対して、関税法に基づき、自己の権利を侵害する貨物の輸入を差し止めるよう申し立てることができる制度です。

 輸入差止申立制度を利用すれば、海外で違法に製造された模倣品が日本国内で流通してしまうことを事前に阻止できますので、海外から輸入される模倣品対策に有効です。また、裁判に比べてコストがかからず、結果が出るのが早いのもメリットです。

 申立では、輸入者を特定する必要はなく、侵害物品が市場に出回っていることの証明ができれば、海外から輸入された時点で侵害物品を排除することができるため、侵害物品の出所を特定できない場合も、この方法を使うことができます。

 申立には、侵害の事実を説明する侵害被疑物品・その写真、弁理士が作成した鑑定書などが必要になるほか、税関で侵害物品であることを識別できるサンプル、写真、カタログなどを提出します。申立が受理されれば、侵害品は税関で差し止められることになります。

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