2020年4月1日から出願が受け付けられるようになった「内装」のデザインについて2件の意匠登録公報が2020年10月26日に特許庁から発行されました。

 従来、意匠法の保護対象は「物品」に限られ、不動産や固体以外のものなど「物品」でないものは保護されませんでした。

 令和2年4月1日から保護対象が拡充され、物品に記録・表示されていない画像デザインを保護する目的で「画像」そのものや、不動産である建築物のデザインを保護する目的で「建築物」、複数の物品、壁、床、天井等から構成される内装のデザインを保護する目的で「内装」が意匠登録の対象に加えられました。

今回、内装の意匠登録が2件ありましたが、画像、建築物についてはまだ意匠登録はされていないようです。

登録例1.書店の内装デザイン

出典:意匠登録第1671152号

 こちらの意匠は、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社による「書店の内装」についての意匠登録(意匠登録第1671152号)です。

 この意匠登録の「意匠に係る物品の説明」には「本願意匠は、直線的に縦列状に配置された縦長長方形の机と壁面の書棚を有する書店の内装である。」と記載されていて、提出されている図面の中の「薄墨を付した部分以外の部分が、意匠登録を受けようとする部分である。」とされています。

 特許庁審査官が内容を審査していない、出願人の記載による「意匠の特徴」には次のように記載されています。

「縦長の空間で、正面から見て左右の内壁に沿って書棚を配置し、
書棚に挟まれた中央の空間に、縦長長方形の机を、縦列に揃えて配置する点に特徴点を有する。

加えて、天井のルーバー、同一形状のテーブルライト及び左右の壁面ライトが、
等間隔に平行して配置されることにより、
正面から見て、空間が奥行きをもって直線的に伸びていくような印象を与え、
空港における滑走路を想起させる。

天井ルーバーが、照明の直接光を遮ることで、空間全体の落ち着いた雰囲気を演出する。
来訪者は、程よい照度のテーブルライトのある長机で、
コーヒーを飲みながら書店の書籍を読む様な、ゆったりと心地の良い時間を過ごせる。」

登録例2.回転寿司店の内装

出典:意匠登録第1671153号

 こちらの意匠は、くら寿司株式会社による「回転寿司店の内装」についての意匠登録(意匠登録第1671153号)です。

 この意匠登録の「意匠の説明」には、「この意匠登録出願の意匠は回転寿司店の内装の意匠であり、支柱と屋根とからなるやぐらの下に、机、椅子、パーテーション、回転寿司搬送装置を配置した構成からなる。」と記載されています。

特許庁審査官が内容を審査していない、出願人の記載による「意匠の特徴」には次のように記載されています。

「本願意匠は、回転寿司店の店舗の屋内に、支柱及び屋根からなるやぐらを建て、その下に、
机、椅子、パーテーション、回転寿司搬送装置をバランスよく配置した点に特徴がある。」

<特許出願(特許申請)の基礎知識>

特許申請の基本知識
特許申請の手続きガイド:流れとポイントを解説

 特許出願は、新しいアイデアや技術などの発明を保護するために重要な手続きです。そして、特許出願には複雑な手続きや法律的な要件が存在するため、特許出願の流れについて理解することは重要です。本記事では、日本の特許出願の流れに […]

もっと見る
特許申請の基本知識
特許申請費用の把握と最適化:コストを抑えながら保護を実現する

 特許出願を行う際には、特許出願に伴う費用について理解することが重要です。本記事では、「特許出願の費用」に焦点を当て、特許出願にかかる費用の詳細について解説します。特許申請を検討している方や興味を持っている方にとって、こ […]

もっと見る
特許申請の基本知識
特許申請の代行サービスを利用するメリットと手続きのポイント

 特許申請は、発明や技術的な革新を保護するために非常に重要な手続きです。しかし、特許申請は専門的な知識や綿密な書類作成が必要とされるため、多くの人にとっては困難な作業となる場合があります。そこで、特許申請の代行サービスが […]

もっと見る
特許申請の基本知識
特許取得費用の助成制度とは?出願人の負担軽減と支援策を解説

審査請求料・特許料の軽減制度  特許出願を特許庁に審査してもらうための審査請求料は、通常、基本料138,000円に「請求項の数」×4,000円を加えた金額です。  また、特許権を10年間維持するための特許料は、基本料22 […]

もっと見る
特許申請の基本知識
簡単な工夫では特許取得は難しいのか?成功のための戦略とアプローチ

特許性に関して後知恵での判断は禁物  特許庁の審査官が審査を行う際に注意を払うことの一つに、「後知恵に陥らないようにする」があります。  特許出願にあたって、発明者・特許出願人は、発明の目的(発明が解決しようとする課題) […]

もっと見る
特許申請の基本知識
物の発明と方法の発明の違いとは?特許申請における重要なポイントを解説

発明のカテゴリー 「特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する」(特許法第68条)というのが特許権の独占排他的な効力です。ここでの「特許発明」とは、特許を受けている発明のことをいいます。そして「業として」とは […]

もっと見る

あたなは、このようなことでお悩みではありませんか?

  1. 自社のビジネスモデルをパクられたくない。
  2. どの程度のアイデアなら特許を取れるのだろう…
  3. 構想段階ではあるがビジネスのアイデアを守りたい。
  4. 中小企業が特許を取ることに意味があるか疑問がある。
  5. 特許を取るには費用がかかりそうだが元を取れるの?
  6. 特許申請のために何をすべきか分からない。