ゲーム大手のカプコンが、人気ゲームソフト「戦国無双」「真・三國無双」「零」を販売するコーエーテクモゲームスに特許権を侵害されたとして、約9億8千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、知財高裁は、特許侵害を認めコーエー側に約1億4384万円の支払いを命じました(2019年9月11日)。

 一審・大阪地裁判決は、カプコンが持つ2件の特許のうち1件を有効としてコーエーに517万円の支払いを命じましたが、知財高裁は2件とも有効と認め、賠償額を大幅に増額しました。争点となったのは、「戦国無双」などのシリーズの一部で続編となるソフトも購入すれば、新たな武器などゲーム内の特典を入手できる機能。コーエー側は「似た機能を持つ既存ゲームがあり、新規性がない」と主張しましたが、判決では「既存ゲームから容易に発明できたとはいえない」として特許有効と判断しました。カプコンの特許は地裁審理中に出願から20年の有効期限が切れており、コーエー側のゲーム販売などに影響はないとみられます。

特許第3295771号「遊戯装置、およびその制御方法」

 本件の特許の一つは、ゲーム中にキャラクターの存在を振動で知らせる発明です。その特許権の内容は次のとおりです。

【請求項1】 遊戯者が操作する入力手段と、この入力手段からの信号に基づいてゲームの進行状態を決定あるいは制御するゲーム進行制御手段と、このゲーム進行制御手段からの信号に基づいて少なくとも遊戯者が上記入力手段を操作することにより変動するキャラクタを含む画像情報を出力する出力手段とを有するゲーム機を備えた遊戯装置であって、
上記ゲーム進行制御手段からの信号に基づいて、ゲームの進行途中における遊戯者が操作している上記キャラクタの置かれている状況が特定の状況にあるか否かを判定する特定状況判定手段と、
上記特定状況判定手段が特定の状況にあることを判定した時に、上記画像情報からは認識できない情報を、上記キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせるための体感振動情報信号として送出する振動情報制御手段と、
上記振動情報制御手段からの体感振動情報信号に基づいて振動を生じさせる振動発生手段と、
を備えたことを特徴とする、遊戯装置。

特許第3350773号「システム作動方法」

 本件の特許のもう一つは、続編となるゲームソフトを作動させる際に、前作のゲームソフトをゲーム機に読み込ませることによって、特典キャラクターや特典機能、特典シーン、特典音楽を入手できる発明です。その特許権の内容は次のとおりです。

【請求項1】 ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶する記憶媒体を所定のゲーム装置に装填してゲームシステムを作動させる方法であって、
上記記憶媒体は、少なくとも、所定のゲームプログラムおよび/またはデータと、所定のキーとを包含する第1の記憶媒体と、所定の標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて所定の拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含する第2の記憶媒体とが準備されており、
上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは、上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに対し、ゲームキャラクタの増加および/またはゲームキャラクタのもつ機能の豊富化および/または場面の拡張および/または音響の豊富化を達成するように形成されたものであり、
上記第2の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填されるとき、上記ゲーム装置が上記所定のキーを読み込んでいる場合には、上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータと上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってゲーム装置を作動させ、上記所定のキーを読み込んでいない場合には、上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってゲーム装置を作動させることを特徴とする、ゲームシステム作動方法。

<特許出願(特許申請)の基礎知識>

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