弁理士が教える特許実務Q&A「特許取得に要する費用についての公的な助成」

特許などの知的財産は会社の有用な資産、競争力の源泉です。そこで、社内に技術部、特許部、知財部などの専門部を設け、人員を配置して、社内での発明の発掘・創作活動、特許調査、特許出願、特許活用の検討などが、常時、専門的に行われていることが望ましいのですが、そのようにすることは簡単ではありません。

このような体制を構築することが簡単ではない企業の方には知的財産の専門家である弁理士に相談することをお勧めします。

特許実務Q&Aでは、会社内に特許専門ご担当の方がいらっしゃらないような企業の方から弁理士が受けることのある質問をいくつか紹介し、その質問に回答する形式で特許実務を紹介します。

【質 問】
中小企業の特許出願で審査請求を行う際の費用が減額されるとの話を聞きました。特許出願を行うこと自体にかなりの費用が発生するのですが、特許出願に対して公的な助成は行われていないでしょうか?

弁理士 林 崇朗

【回 答】
特許出願に対する公的な費用助成としては外国への特許出願の際に発生する費用への助成制度があります。この他にも、会社が所在している各都道府県などで日本国内の特許出願、等に対する費用助成が行われることもあります。
なお、助成制度の中には、新年度早々に募集開始され、応募が殺到して直ちに募集打ち切りになることもありますので、ご注意ください。

外国出願に要する費用の半額補助

特許庁では、中小企業の戦略的な外国出願を促進するため、外国への事業展開等を計画している中小企業等に対して、外国出願にかかる費用の半額を助成しています。 独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)と各都道府県等中小企業支援センター等が窓口となり、全国の中小企業が支援を受けることができます。地域団体商標の外国出願については商工会議所、商工会、NPO法人等も応募できます。また、意匠においては、「ハーグ協定に基づく意匠の国際出願」も支援対象です。

助成を受ける対象の費用発生、支払いがどのような期間になされたものであるかが要求されますので注意が必要です。PCT国際出願を海外へ移行する場合、日本に一番最初に特許出願を行った日(優先日)から30カ月以内に海外の指定国に移行することになります。助成は毎年度に行われていますが、PCT国際出願を海外へ移行する期限がいつであるのか、JETROの助成対象になる費用の発生・支払完了期限がどの期間であるか、十分に検討した上で、どの年度に助成申請を行うべきか検討することが望ましいです。

日本国特許出願への助成

平成31年(2019年)4月1日以降、中小企業を対象として審査請求料と特許料(1年分~10年分)が1/2に軽減されます。

2019年4月1日以降に審査請求するものについては、減免申請書を提出しなくとも、「出願審査請求書」の【手数料に関する特記事項】、又は「特許料納付書」の【特許料等に関する特記事項】に「減免を受ける旨」と「減免申請書の提出を省略する旨」の記載をすれば、減免を受けることが可能となります。証明書類は提出が不要になります。

また、平成31年(2019年)4月1日以降、中小企業を対象として、国際出願の送付手数料・調査手数料が1/2に軽減されます。

なお、従来から実施されていた、特定の条件を満たす中小企業について、証明書の提出を条件として審査請求料、特許料(1年分~10年分)、国際出願の送付手数料・調査手数料を1/3に軽減する措置は引き続き実施されます。

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投稿者プロフィール

HAYASHI Takaaki
HAYASHI Takaaki弁理士
特許や商標などの知的財産の専門家。特に半導体・自動車・遊技機の技術分野において実務経験が豊富。諸外国の知財実務にも精通しており、特にインドネシアに関しては知財以外のビジネス情報にも詳しい。