特許審査の国際比較:主要国の特許審査期間を解説
特許庁は、特許行政に関する統計である「特許行政年次報告書2019年版」を公表しました。この報告書には、知的財産制度を取り巻く現状と方向性、国内外の動向や分析、直近の統計情報などが取りまとめられています。この記事では、主要国(5大特許庁)である日本、韓国、中国、米国、欧州の各国について、特許出願に関する一次審査通知期間、標準審査期間、特許査定率について取り上げます。
主要国の一次審査通知期間、標準審査期間、特許査定率
特許出願に関する主要国の一次審査通知期間、標準審査期間、特許査定率はそれぞれ次の表のとおりです。
一次審査通知期間 | 標準審査期間 | 特許査定率 | |
日本 | 9.3か月 | 14.1か月 | 75.3% |
韓国 | 10.4か月 | 15.9か月 | 63.1% |
中国 | 14.4か月 | 22.0か月 | 56.4% |
米国 | 15.7か月 | 24.2か月 | 71.9% |
欧州 | 4.8か月 | 24.9か月 | 57.1% |
一次審査通知期間:最初の審査結果が通知されるまでの期間
標準審査期間:権利化までに要する期間
特許査定率:審査結果のうち特許査定が占める割合
主要国の一次審査通知期間
日本国特許庁は、審査期間の短縮を求めるニーズの高まりを受け、2023 年度までに特許の一次審査通知期間を「平均10か月以内」にするという目標を設定しています。2018年度の標準審査期間は9.3ヶ月であり目標達成を達成しています。。
主要国の一次審査通知期間は、4.8ヶ月の欧州が最短であり、次いで、日本(9.3ヶ月)、韓国(10.4ヶ月)、中国(14.4ヶ月)、米国(15.7ヶ月)が続きます。日本および韓国の一次審査通知期間は、欧州の約2倍の期間となっています。そして、中国および米国の一次審査通知期間は、欧州の約3倍の期間となっています。
主要国の標準審査期間
日本国特許庁は、審査期間の短縮を求めるニーズの高まりを受け、2023 年度までに特許の標準審査期間を「平均14か月以内」にするという目標を設定しています。2018年度の標準審査期間は14.1ヶ月であり、目標達成まであと0.1ヶ月と迫っています。
主要国の標準審査期間は、14.1ヶ月の日本が最短であり、次いで、韓国(15.9ヶ月)、中国(22.0ヶ月)、米国(24.2ヶ月)、欧州(24.9ヶ月)が続きます。このことから、特許の権利化には、平均して、日本および韓国では1年強、中国では2年弱、米国および欧州では2年強かかることが伺えます。
主要国の特許査定率
主要国の特許査定率をみると、2017 年の日本の特許査定率は、前年比 1.2 ポイント減の 74.6%とわずかに減少に転じましたが、2018年は75.3%とやや盛り返しています。
主要国の特許査定率は、75.3%の日本が最も高く、次いで、米国(71.9%:前年比 1.6 ポイント増)、韓国(63.1%:前年比3.1 ポイント増)、欧州(57.1%:前年比 2.3 ポイント増)、中国(56.4%:2017年度)となっています。
まとめ
各国特許庁におけるの一次審査通知期間、標準審査期間、特許査定率は、各国の特許制度の違いによってその定義に際があるため単純に比較はできませんが、主要国の中で日本は、特許を取得するまでの期間が短い上に、比較的に特許を取得しやすい国であると言えるでしょう。
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