令和元年改正意匠法のうち、今年4月1日に施行されていなかった部分の施行期日が令和3年4月1日と決まりました。

この改正により、意匠登録出願手続きが簡素化され、複数意匠一括出願の導入などが行われることとなります。

 改正意匠法の主な項目は以下の通りです。

複数意匠一括出願の導入

 従来は、意匠ごとに願書を作成する必要がありましたが、改正後は、複数の意匠をまとめて一括して出願することが可能となります。この一括出願制度は、出願手続きの簡素化を目的としており、審査は意匠ごとに行われます。なお、一意匠につき一つの意匠権が発生する原則は変わりません。

 主要国(米欧中韓)やハーグ協定においても複数意匠の一括出願が認められており、国際意匠出願に合わせて出願手続きが簡素化されることとなりました。例えば、一つのデザインコンセプトに基づき、複数のデザインを同時に出願する場合などには、一括で出願するメリットがあります。

 なお、複数意匠一括出願の導入によっても、印紙代は意匠ごとに計算されますので、現行制度と比べて出願料や登録料に変動はありません。

物品区分の扱いの見直し

 従来は、願書に記載すべき物品の区分の粒度を「物品区分表」により定めていましたが、改正後は、これを廃止し、経済産業省令により「1意匠」の対象となる基準を設けることとなります。これにより、省令で定められる物品区分表に記載されている物品の区分と同程度の区分を記載しない出願については、従来のような拒絶理由の対象となりません。

この改正により、意匠法第7条の「一意匠一出願」の原則も見直されました。従来は「経済産業省令で定める物品の区分により意匠ごとにしなければならない」とされていましたが、改正後は「経済産業省令で定めるところにより、意匠ごとにしなければならない」と変更されました。これにより、物品区分の扱いがより柔軟になり、出願時の手続きが簡素化されます。

手続救済規定の拡充

 改正意匠法では、手続救済規定の拡充も行われました。従来は、指定期間や優先期間が経過した後の出願等に対する救済措置は認められていませんでしたが、改正後は、指定期間や優先期間が経過した後の出願に対しても救済が可能となります。

 具体的には、特許法で既に採用されていた規定を意匠法でも準用することとなります。特許庁長官が指定する期間(指定期間)内に手続を行えなかった場合でも、出願人からの請求により、その指定期間を延長することができるようになります。これにより、意匠登録手続きにおける柔軟性と公正性が向上し、出願人の利益が保護されることとなります。

最後に

 以上が、令和3年4月1日に施行される改正意匠法の主な項目です。これらの改正により、意匠登録出願手続きがより簡素化され、出願人の利便性が向上することが期待されます。また、物品区分の見直しや手続救済規定の拡充により、意匠制度全体の透明性と公平性が高まります。

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